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ホタルの水辺

皆さんはホタルを見たことがありますか?
生まれも育ちも神奈川県川崎市の私は、残念ながら数年前まで見たことがありませんでした。昔は初夏の風物詩として、あちこちの川で見られていたようですが、最近では数年前の私のように、見たことがない人も少なくないのではないでしょうか?
自然界で自生しているホタルは現在激減しており、そのため自然再生の象徴種として、また、観光の目玉にもなりやすいホタルは、養殖や、どこかから連れてきたものを放流している場所も多く見られ、遺伝子汚染も進んでしまっているようです。

ホタルが必要とする環境条件は、ゲンジボタルの場合、
 ①幼虫の餌となる巻貝が多く、幼虫の成長に合わせ、多様なサイズがある。
 ②水際にコケがある。(コケの中に産卵する。)
 ③水辺近くに柔らかく湿った土がある。(さなぎを土の中で作る。)
 ④水量や水温が安定した、流水がある。(冷たくなければダメ。)
 ⑤林に囲まれた水辺である。(光害を防ぐ。)
 ⑥水辺の近くに草むらがある。(日中は葉の裏等で休む。)
 
などなど、たくさんの条件が必要です。皆さんの住む地域に、これらの条件をクリアできる場所はあるでしょうか?
例えば、住宅地は光害を防ぐ事は難しく、人工河川では安定した水量、水温を保つのが難しいと考えられます。

このように、昔はよく見られたはずの上記の環境条件を備えた水辺は、今ではとても貴重な場所になってしまっているのです。移動能力の低いホタルは、上記の環境条件が一つでも失われてしまえば、生きていけなくなってしまいます。ホタルを放流しても、ホタルがその場所に定着し、自生できるような環境が備わっていなければ、ホタル達には迷惑な話なのです。例えば、先日佐渡島で放鳥されたトキが本州に渡ってしまっているのも、同じことかもしれませんよね?
生きものによってそれぞれ必要とする環境条件は違いますが、それがないと生きていけないのは同じことなのです。
 
ですから、もし皆さんがホタルを見に行く際は、マナーを守って楽しみつつ、その場所に上記の条件が揃っているかを確認してみたり、また、ホタルの保護活動が行われているのであれば、安易な移動や放流といった間違った方法ではないかなど、ホタルの気持ちになって見てみるのもいいかもしれませんね。

ホコ

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コメント

長野県辰野町松尾峡は古くからホタルの名所として有名です。

しかし1960年代に,主として観光目的で,地元産ゲンジを補うために,膨大な数のゲンジ幼虫や卵が,他県業者などからの購入や譲渡によって,放流されました。それによって,今のゲンジ集団の基礎が築かれました。

しかし移入ゲンジと地元産ゲンジは,遺伝的系統も発光周期も異なっています。

最近の研究によって,松尾峡では他県産ゲンジが地元ゲンジを圧倒し,地元産ゲンジは増えるどころか,壊滅的な打撃を受けたことが明らかとなりました。この影響は、放流が無かった下流地域まで及んでいます。つまり、地元産ゲンジが子孫を残しにくくなっているのです。

しかし,この地を管理しホタル祭を実施している町役場は,この移入の歴史を伏せていて,ホームページやパンフレットでは地元産ゲンジを増やしてきたかのように述べています。また,ホタル保護と銘打っていても,松尾峡では移入ゲンジを増やしているだけで,観光に役立たないヘイケの生息地は破壊され,荒地や駐車場となっています。

私たちホタル研究者は,このような観光優先の移入ゲンジ養殖政策を改めるように申し入れていますが,全く無視されています。

ここ,松尾峡はゲンジボタル生息地として,県の天然記念物に指定されています。今年(2009),ここでゲンジを無断捕獲した男性が,天然記念物保護条例違反として警察に突き出され送検されました。

しかし,役場がしている移入ゲンジによる在来ゲンジの迫害には,これまで何のお咎めもありません。そもそも,この条例には,採るな,減らすな,荒らすな,というような規定はあっても,他地域から入れるなという規定がないのです。しかもゲンジ対象なので,ヘイケの生存が脅かされても全く問題にならないという,おかしな話なのです。ひょっとして,他地域のホタル生息地や,他生物の生息地を規定した天然記念物保護条例も,同様な問題を含むのではないでしょうか。

観光優先で,地域おこしに役立てば生物多様性の犠牲もやむなし,というようなホタル飼育を実施する行政と,それに対処できない天然記念物保護条例があります。

このような天然記念物保護条例って、変ではありませんか?

投稿: kumagera | 2009年10月28日 (水) 07時05分

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