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ホタルの光の危機!?

前回の記事で、ホタルについてお伝えしましたが、最近、ゲンジボタルの幼虫の餌となる、「カワニナ」の稚貝によく似た外来種が問題になっているのをご存知でしょうか?

その名は「コモチカワツボ
親貝で体長4~5㎜ととても小さいニュージーランド原産の外来生物で、現在世界中で生息域を広げているようです。
雌雄同体で無性生殖が可能なため1匹見つかると根絶は難しく、同じ餌を食べる川虫などを駆逐し、結果として、それを餌とする魚まで減少させているとの報告もあります。

幼虫期に主にカワニナを食べるゲンジボタルの場合、よく似たコモチカワツボを餌とすると、求愛行動のために放つ光が弱くなり、交尾の成功率が低下し、生息数の減少に繋がっているという研究結果もあります。これは、コモチカワツボが体内に蓄えられるミネラルの量が、カワニナに比べ10%以下のため、発光するための器官が発達しない事が原因と考えられています。

カワニナに比べて容易に増えるコモチカワツボは、ホタルを増やすためのカワニナの代用として、人為的に自然環境に放たれたり、養殖に使われたりしてしまっています。これらの貝は殻口の形が違います1が見分けるのは難しく、カワニナと勘違いされ餌として撒かれることも多いようですが、一度自然界に放たれてしまうと、取り返しのつかないことになってしまいます。

ゲンジボタル達のためにも、ホタルを増やすための安易な外来種の利用や養殖、放流などではなく、彼らが安心して暮らせる環境条件の揃った場所を守り、移動能力の小さい彼らでも、自分の力で移動してすみかを選べるくらい、ホタルが喜ぶ水辺を増やしていきましょう。

※1.殻口の形がコモチカワツボは丸く、カワニナはひし形です。

ホコ

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ホタルの水辺

皆さんはホタルを見たことがありますか?
生まれも育ちも神奈川県川崎市の私は、残念ながら数年前まで見たことがありませんでした。昔は初夏の風物詩として、あちこちの川で見られていたようですが、最近では数年前の私のように、見たことがない人も少なくないのではないでしょうか?
自然界で自生しているホタルは現在激減しており、そのため自然再生の象徴種として、また、観光の目玉にもなりやすいホタルは、養殖や、どこかから連れてきたものを放流している場所も多く見られ、遺伝子汚染も進んでしまっているようです。

ホタルが必要とする環境条件は、ゲンジボタルの場合、
 ①幼虫の餌となる巻貝が多く、幼虫の成長に合わせ、多様なサイズがある。
 ②水際にコケがある。(コケの中に産卵する。)
 ③水辺近くに柔らかく湿った土がある。(さなぎを土の中で作る。)
 ④水量や水温が安定した、流水がある。(冷たくなければダメ。)
 ⑤林に囲まれた水辺である。(光害を防ぐ。)
 ⑥水辺の近くに草むらがある。(日中は葉の裏等で休む。)
 
などなど、たくさんの条件が必要です。皆さんの住む地域に、これらの条件をクリアできる場所はあるでしょうか?
例えば、住宅地は光害を防ぐ事は難しく、人工河川では安定した水量、水温を保つのが難しいと考えられます。

このように、昔はよく見られたはずの上記の環境条件を備えた水辺は、今ではとても貴重な場所になってしまっているのです。移動能力の低いホタルは、上記の環境条件が一つでも失われてしまえば、生きていけなくなってしまいます。ホタルを放流しても、ホタルがその場所に定着し、自生できるような環境が備わっていなければ、ホタル達には迷惑な話なのです。例えば、先日佐渡島で放鳥されたトキが本州に渡ってしまっているのも、同じことかもしれませんよね?
生きものによってそれぞれ必要とする環境条件は違いますが、それがないと生きていけないのは同じことなのです。
 
ですから、もし皆さんがホタルを見に行く際は、マナーを守って楽しみつつ、その場所に上記の条件が揃っているかを確認してみたり、また、ホタルの保護活動が行われているのであれば、安易な移動や放流といった間違った方法ではないかなど、ホタルの気持ちになって見てみるのもいいかもしれませんね。

ホコ

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イトトンボのすみか

新学期のスタートから、もう約2ヶ月が経ちました。私たち人と自然の研究所が行っている、都内小学校での新年度の池型ビオトープを活用した出前授業も、もう始まっています。私が今回参加させていただいたのは、代々4年生が維持管理を担当しているビオトープの調査の授業でした。
P5110047_2   こちらの小学校のビオトープは、コンクリートでいくつかに仕切られた池を、生きものの視点から、数年前に土を入れて水草の生えた浅い水辺に改修したものです。今回も、ビオトープの環境を知る際の指標にしやすいトンボ(ヤゴ)を中心に、捕獲調査を行いました。
P6040026捕獲後は、班ごとに子ども達に種を同定してもらいます。最初にイトトンボを渡された班の子ども達は、他のヤゴとのあまりの形の違いに、「ヤゴじゃないのが当たっちゃった~」なんて言っていましたが、同定の途中でこれがヤゴだとわかった時のみんなのキラキラした目!子ども達にとっても、図鑑等で見るだけでなく、直に触れられるいい機会になったのでは、と嬉しくなりました。
今回の調査ではシオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ショウジョウトンボ、ギンヤンマ、マルタンヤンマ(羽化殻)と、イトトンボの仲間のヤゴの3種を確認することができました。
先輩方(代々の4年生)の努力により、10㎡程のビオトープにこれだけの種のトンボが来訪してくれていたのです!

皆さんはイトトンボを見たことがありますか?
彼らは他の一般的なヤンマ類やトンボ類に比べて、非常に細く小さく、他のヤゴに捕食されてしまうことも少なくありません。そんな弱いイトトンボ達と、他のトンボが一つの小さな池で一緒に暮らしていられるなんて、不思議だと思いませんか?
P6040038_4 その訳は、イトトンボ達が『小さい』ということにあります。他のトンボでは入り込めないけど、イトトンボ達なら入れるような水草の混んだ場所を、子ども達が生きものの気持ちになってビオトープを管理することにより、創出できていたからなのです。
このようにコンクリートで仕切られたビオトープでも、生きものの気持ちになって必要な環境を創出しさえすれば、生きものにとってはそこが素敵な「すみか」になるんですよね。

都内の小学校のたったひとつの小さなビオトープでも、生きものの視点に立って少し工夫するだけで、多様な生きものと、その「すみか」となる多様な環境について知ることができるのです。
日々の暮らしの中でも、周囲の環境を生きものの視点で見てみてください。そうすれば、その多様な生きものたちの暮らしを知ることができ、都会ももっと生きものたちが安心して暮らせる場所になっていくのではないでしょうか。

ホコ

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夜のカラス?

私の近所の緑道を流れる小川には、毎年今頃になると、小魚などを食べに『ゴイサギ』がやってきます。ゴイサギは日本の北方では夏鳥、本州以南の各地では留鳥ですが、うちの近所の小川には、魚などの生きものが活発になる時期を狙ってか、今頃になると現れるのです。ですから、この小川でゴイサギを見かけるようになると、夏が来るんだなぁと感じさせてくれます。

ゴイサギは、昼間は近くの樹上で休み、夕方ごろから餌を求めて水辺へ来ています。
だから見かけるのは暗い時間帯で、カラスのような鳴き声を出すので、「ヨガラス(夜烏)」とも呼ばれています。静止したまま小魚などを待ち伏せして捕らえるので、近くにいても、意外と気づかない人も多いみたいです。餌を捕らえるとき、急に首を伸ばすので、「ぬいぐるみかと思った~っ!」とびっくりしている人を良く見かけます。そのくらい、じぃ~っとしているのです。

この小川を餌場の一つとして気に入ってくれているのか、数は少ないですが毎年訪れてくれています。しかし、ゴイサギなどのサギ類が集団でねぐらとして利用している樹林や餌場となる水辺は、人間の開発により減少しているのも事実です。
この緑道の利用者にとっても、夏が近づいていることをお知らせしてくれるゴイサギを見かけなくなってしまうのは悲しい事です。ですから、安心して暮らせる樹林や水辺をこれ以上減らさないよう、また無くなった場所には再生するなど、人間の立場でしか考えない開発等を、生きものの気持ちになって、考え直していかなければなりませんね。
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 ホコ

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