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金魚のしあわせ

私たち人と自然の研究所が関わらせていただいている池型ビオトープに、先日金魚が放されているのを発見しました。
金魚とはフナが突然変異したものを人間が人工的に観賞用として改良した、本来自然界には存在しない生きものです。ですから、ビオトープに入れられてしまった金魚には、以下のような困った事が起きてしまいます。
Rimg4761 ・目立つので天敵に狙われやすい。
・もともと飼育用としてつくられているため、自然環境に適応できない種もいる。
 

 

また、ビオトープにとっても、ヤゴなどの水生生物を捕食してしまうため、そこを利用してくれる水生生物がいなくなってしまったり、ペットショップなどから自然界に菌や病気等を蔓延させてしまうことだってあるのです。

 
このような事は、実は様々な生きものでも起こっています。ホタルやメダカの放流もそのひとつです。違う地域や水系の生きものを放してしまうと、その土地独自の自然や、絶妙なバランスで暮らしている生きもの達をかく乱してしまうのです。同じ種であっても遺伝子レベルでは地域性があり、今までその土地に存在しなかった遺伝子をもった種との交雑によって、その土地の進化の歴史ともいえる純粋な遺伝子が失われてしまいます。これらは現在大きな問題となっています。純粋な遺伝子が失われてしまうと、例えば何らかの病気が流行した場合、あっという間に絶滅してしまうおそれがあります。でも、様々な遺伝子をもった種がいれば、その病気に対する抗体を持った遺伝子は残ることができ、種としての絶滅の可能性が低くなるのです。
 

このように、ビオトープという「野生の生きものの生息空間」に、勝手に生きものを移動してしまった事で、その生きものだけでなく、もともとその場にいた生きものにも悲しい思いをさせしまっているのです。
 

このような悲しい思いをする生きものがこれ以上増えないように、生きものが困っているという事をたくさんの人々に理解してもらい、「ビオトープでもかわいい金魚を見たい」という人間の視点を生きものの視点で考え直して、生きものが安心して暮らせる場所を増やしていくことが、私たちビオトープ管理士のこれからの大きな課題であるという事を、つくづく感る出来事でした。

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