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ビオトープにはこんな機能もあるんです!

普段、人と自然の研究所の関わる学校ビオトープに植えつけている水草は、近くの河川から少し分けていただき、それを私たちの事務所のビオトープなどで増やしたものです。造成や改修の度に河川からいただいてしまうのでは、水辺環境に負荷をかけてしまうかもしれないからです。
さらに、もしその水系で何らかの理由によりある種が減少してしまった場合、私たちのビオトープや学校のビオトープにその種があれば、それを河川に戻す事もできます。同じ河川のものですから、遺伝子汚染の心配もありません。
ビオトープは生きものの生息空間であり、それを活かした教育施設であると同時に、水草などの保全施設でもあるんですね。

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最近植え付けをしたセリです。

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続・生きものが教えてくれた事

今回は、前回の記事でお伝えした学校ビオトープでの捕獲調査結果を元に、子ども達が生きものの気持ちになって行った改修作業についてお伝えします。

皆さんは、前回の調査結果からどのようなビオトープを想像したでしょうか?
子ども達は調査結果から、現在のビオトープを以下のように評価しました。
・打水産卵(※1をする、明るい場所を好むシオカラトンボが確認できた。
   ⇒明るい開けた水面がある。
・打水産卵をする、暗い場所を好むオオシオカラトンボが確認できた。
   ⇒暗い開けた水面がある。
・水草に産卵するヤンマ科やイトトンボ科などのトンボが確認できなかった。
   ⇒水草が少ない。

この評価から、もっとたくさんの生きものに来てもらうために、ビオトープに水草を植えよう!という事になり、みんなで作業を行いました。
もちろん、自分では移動する事のできない水草の気持ちにもなって、明暗や水深などそれぞれの種が好む環境を考えながら、しっかり根付くようセリやマコモなどを植え付けました。
そして完成したビオトープがこちら。季節がら、まだ芽生えたばかりの水草たちですが、春になれば緑の葉をぐんぐん伸ばしてくれる事でしょう。次の調査では、このビオトープで今まで確認できなかったヤンマ科やイトトンボ科などのトンボや、水草がない事で来られなかった生きものたちも、見つけられそうですね。

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(写真右:シオカラトンボ)

※1 打水産卵とは、トンボの胴体の先端辺りを水面にちょんちょんとつけて産卵する方法で、飛びながら行うため、羽がぶつからないような開けた水面を必要とします。

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生きものが教えてくれた事

先週、人と自然の研究所が出前授業を行っている小学校で、ビオトープにどんな生きものがいるのかを子供たちと調査しました。今回は、種ごとに好む環境の違いがわかれているトンボ(ヤゴ)を中心に捕獲調査しました。

Img_3404 作業はもちろん子ども達にやってもらいました! みんな楽しそうに、網で葉っぱの下や泥の中に隠れている生きものを捕獲していました。

  

  

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そして、見つけたヤゴをスケッチします。子ども達の目は鋭く、何も教えなくても「目が小さいね」とか、「毛が生えているね」など、それぞれの種の体のつくりの特徴を捉えていました。  

 

Img_3458その後、実体顕微鏡でポイントとなる特徴を確認し、見つかったのは、オオシオカラトンボとシオカラトンボの2種のヤゴであるということがわかりました。しかし、近隣の学校ビオトープでは、より多くの種が見つかっている事がわかっています。
なので、この調査結果を元に、子ども達とこれからビオトープをもっと良くするにはどうすればよいかを話し合い、それを踏まえて次回はビオトープの改修作業をする事になりました。
というわけで次回のブログでは、どうしたらもっと多様な生きものがくらせる素敵なビオトープになるのか? 子ども達が出した答えを改修作業の様子と共にお伝えしたいと思います。さて、どんなビオトープになっていくのでしょうか?

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雑木林の萌芽更新

皆さんが住んでいる町に、雑木林は残っていますか?
一般的な雑木林とは、コナラ、クヌギなどの落葉広葉樹で構成されている、人々のくらしに様々なかたちで利用されてきた樹林のことです。
伐採した雑木は薪や炭など生活に必要な燃料として、また落ち葉なども肥料として利用する等、ガスも電気もなかった頃の人々は、雑木林から様々な恩恵を受けてくらしていました。
また、人々が生活のために利用していた雑木林は、カタクリ、アズマイチゲ、フクジュソウなどの早春に明るい場所で花を咲かせる種の生育地でもありました。雑木林が伐採されることで、これらの種の生育地が守られていたのです。
私たち人と自然の研究所は、ビオトープを学ぶ現場研修会で雑木林の維持管理等も行っています。
P3080109_2 今回はその一環として、八王子市にある都立小宮公園の雑木林を見学してきました。
ここでは22年程前から園内の雑木林を区分けし時期をずらして伐採しており、雑木林がどのように萌芽更新していくのかを段階的に小さな範囲で見られるようになっています。

Img_3395_2 萌芽(ほうが)更新とは、コナラやクヌギ等の雑木林を伐採し切り株から育つ芽を繰り返し育てていくもので、かつての日本の農山村で普通に行われていました。しかし、都市化が進み人々が簡単に化石燃料や、化学肥料を手に入れられるようになると、手間のかかる雑木林は放置され、荒廃していったのです。
この事は、人の手が加わった場所を生息地としてきた、カタクリ、アズマイチゲ、フクジュソウなどにとって死活問題です。ですから、そんな生きもの達が困ってしまわないためにも、ビオトープの視点で以前のように雑木林を維持できるような仕組みを考えていかなければいけませんね。

P4210007_2  カタクリ

Imgp1922_2  アズマイチゲ

P4220125_2  フクジュソウ

もし、皆さんの住む町にまだ荒廃していない雑木林が残っていたら、もうそろそろこんなかわいい花が見られるかもしれませんね。

ホコ

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続・アズマヒキガエルの気持ちになってみよう!

こんにちは。

少し間が空いてしまいましたが、アズマヒキガエルや周辺にくらすトンボ等の生きものの気持ちになって行った、都内小学校のビオトープ再生作業の様子をお伝えします。

まずは前回のおさらいと、改善点について。

Sp2240018 ●再生前の池の特徴

・コンクリート製。

・水面から地上までの高低差が15cm程度ある。

・水草がほぼない

●改善点とその理由

・コンクリートの池に土を入れ、スロープをつくる。

 →浅い場所と深い場所をつくる事で、多様な生きもののための環境を創出する。

→吸盤のないアズマヒキガエルにとって、障害となる高低差のある絶壁をなくす。

・水草を植える。

 →水草に産卵するトンボ等にとっての産卵場所、水中の小さな生きものに隠れ場所を提供できる。

次に作業の流れを説明します。

1.池の水を抜きつつ、既にいるアズマヒキガエルの卵塊や、ヤゴ、貝類等を一旦池からバケツにレスキューする。

2.水がほぼなくなったところで、コンクリートの池に土を入れ、踏み固める。

3.水底の形を整えつつ、池の外にも土でスロープをつくる。

4.水草をそれぞれの種の好む場所(日当り、水深等)に植える。

5.水を入れ、レスキューしておいた生きものをビオトープへ戻す。

1.Sp2240040_3 2.3.Sp2240025_3

4.Sp2240085_4    5.Sp2240106_3

と、こんな感じです。

子ども達と楽しく作業しているうちに、素敵なビオトープが完成しました!

これからこのビオトープを生きものが選んでくれるのでしょうか?

生きものの気持ちになって、たくさんの生きものが安心してくらせる「すみか」となるよう、

子ども達と一緒に生きものの視点での維持管理を行っていきたいと思います。

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ビオトープ管理プロ養成実践講座修了生のつどい

こんにちは。

前回のブログで、「次回はビオトープの再生作業についてお伝えします」と書きましたが、その前に、先月末行われたビオトープ管理プロ養成実践講座(プロ講座)修了生のつどいの事をお伝えしたいと思います。

プロ講座というのはビオトープ管理士として仕事をしていく、つまりビオトープ管理士のプロを養成するべく、人と自然の研究所が行っている講座です。

その修了生には、既にプロとして自ら営業をかけ仕事を獲得し、活躍の場を広げている人もいます!

今回開かれたつどいには、お互いの得意分野を活かしたネットワークを形成し、協力して仕事につなげていくことができる場や、情報交換ができる場にしたいと修了生が集まりました。

事例発表では、地域で行っている自然観察の講師としての活動の紹介や、造成から維持管理まで任されているビオトープの紹介等あり、これから仕事にしていこうと思っている私にとって、大変勉強になるものばかりでした。

そんな私も、これから企業に向けて提案しようと思っている案件を発表させていただき、皆さんから様々な意見を頂くことができました。

お互いの意識を高めあえる、とても有意義な時間になったと思います。

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ホコ

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アズマヒキガエルの気持ちになってみよう!

こんにちは。
最近は寒暖の差が激しい日々が続いていますが、皆さん体調を崩したりはしていないですか?
生きものたちも暖かい日は、春が来たと勘違いしてしまったのでしょうか、事務所にあるオトープでも、暖かくなった水面でメダカが元気に泳いでいました。

人と自然の研究所が最近出前授業をしている都内の小学校の池には、アズマヒキガエル(通称:ガマガエル)が産卵に来ていました。この池には水草はほぼなく、コンクリート製で水面から地上までの高低差が15cm程度あります。
私達はこの小学校の池を生きものの視点で、生きものにとって暮らしやすいビオトープに再生しよう! と、子ども達と話し合っていました。その中で、産卵に来てくれているアズマヒキガエルにとって困った「問題」がこの池にある事がわかりました。

Sp2160023  ここで、アズマヒキガエルについて少し解説します。
 ・でっぷりとした大型のカエル
 ・お腹から水分を摂取するため、皮膚が薄くデリケート
 ・手に吸盤はなく、地面を這って移動する。
 ・普段は暗い雑木林などに生息。
 ・オタマジャクシの期間が短く、変態直後はわずか1cm程度。

さて、皆さんもう「問題」にはお気づきでしょうか?
変態直後わずか1cm、吸盤を持たないアズマヒキガエルが果たして水面から地上までコンクリートの絶壁(約15cm)を登り、近くの雑木林まで辿り着くことはできるのでしょうか?
答えはもちろん、ノーです。
15cmの壁は、吸盤のないアズマヒキガエルにとって、超える事の出来ない障害となってしまうのです…。

このように、この小学校の池はアズマヒキガエルにとって、あまり暮らしやすい環境とはいえないようです。

授業の中でこの事を知った子ども達は、「かわいそう」「道を作ってあげたらいいのに!」なんて、言ってくれました。みんなアズマヒキガエルが困っていることに、気づいてくれたのです。

そして、子ども達が生きものの気持ちになってくれた事で、コンクリートの池が生きものの暮しやすいビオトープに再生することができました!

次回は、子ども達と一緒に行った、ビオトープの再生作業の様子をお伝えしたいと思います。

ホコ

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